ピロリ菌は胃の粘膜などに住む細菌です。
近年、研究が進み、ピロリ菌は胃の粘膜を荒らし、胃炎などの原因になると考えられています。
●ピロリ菌の発見について
つい最近まで、胃の中は非常に酸性が強く、生物が生きていけるような環境ではないと信じられていました。しかし、1982年オーストラリアのマーシャル教授とウォーレン医師らにより、らせん菌が発見されました。
●ピロリ菌の名前の由来
このらせん菌は、発見後「ヘリコバクター・ピロリ」と名付けられました。 「ヘリコ」はらせん、「バクター」は細菌、「ピロリ」は胃の出口に近い幽門部(ピロールス)からきており、胃の出口付近によくいるらせん菌という意味です。
●ピロリ菌による胃への影響
ピロリ菌はウレアーゼという酵素を使って、胃の中にある尿素をアンモニアに変化させ胃酸を中和し生存できる環境を作り上げます。胃の中にすみついたピロリ菌は胃の粘膜を荒らし、胃炎の原因となり一部の人に潰瘍を引き起こします。
●WHOの見解
1994年にWHO(世界保健機関)の国際がん研究機関(IARC)がピロリ菌感染を「確実な発ガン因子」に指定したことから、今日ではピロリ菌が胃潰瘍や胃癌などの消化器疾患の危険因子のひとつと考えられています。
●ノーベル生理学・医学賞受賞について
マーシャル教授とウォーレン医師は、「ヘリコバクター・ピロリ菌の発見と胃炎、胃・十二指腸潰瘍における役割の解明」により、2005年のノーベル生理学・医学賞を受賞されました。